いんえいらいさん

雪深い、妻有の里に住むトオマカチン。 ブライトtomの記ログ。不定期発信中!

タグ:萬国屋

講話集
 この本は販売しているような本ではなく、したがってアマゾンや本屋に頼んだところで手に入らない。出版元である山形県庄内地方の印刷会社に問い合わせても、もはや絶版として手元にないといわれる始末。
 そもそもこの本の存在は村杉温泉の環翠楼に宿泊した折、同所の談話室にある書棚で見つけたもの。これは読みたいと思ったものの借りて帰るわけにも行かず、印刷元に問い合わせたものの前述のとおりだったので、それこそ大元であるあつみ温泉の萬国屋に連絡して借りたもの。

 本書はあつみ温泉萬国屋の元社長である本間儀左衛門氏による講話集。本間儀左衛門は本来萬国屋を継ぐ者に踏襲される名でありますので本名とは違いますが、現状二代前の社長という立場でした。厳密に言えば地方というか田舎の旅館業たるもの家業の継承によるところが多いので、言わば何代目などと跡目がつくところですが、現社長が出自が違うために少しややこしくなっています。まあ無粋なことは置いといて…。

 本書は氏が方々での公演にて紡いだ言の葉を集めたもの。そこには旅館業というサービス業を生業とし、人生のほとんどをその一線で奮闘した方だからこそ述べられる珠玉の言霊が記載されたものでした。
 好きこそ物のではありませんが、一つの仕事を一生の生業とすることは難しいものです。氏は家業を継承するという立場におられたもので、一生をかけてサービス業を見てきた先達と思います。

 根底にあるのは人として、日本人としてのおもてなしの姿勢。
 これは永遠のものとして、絶えず教育啓蒙していかなければ、残念ながら継承できるものではなくなってしまっているようです。
 耳が痛いことというのは、後から聞いておいてよかったと思うことが多いものです。

 このあつみ温泉見聞ログも5回連続。これで最終回にしましょう。
 まぁ5泊しましたからこんなもんでしょう。

 さてラストは、館内そこここにある「花」です。私は確実に花より団子派でありますため、いつもなら花を愛でることはほとんどありません。野に咲く花や山河の雅な風景に、たまには心奪われることもあるものの、基本は食べる方なのであります。

 老舗旅館ともなれば、いたるところに日常を昇華した演出が垣間見え、世の女性にとっては目とともに心もくすぐるポイントなのでしょう。
花01花02

花03花04

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 結構金がかかってんだろうなぁ〜って印象はぬぐえないものの、ホッとした気持ちになるのも事実。
花08花09
 フロントロビーと朝食会場にあるもの。
花10花11
 女性にはよいのでしょうね。
 残念ながら私にはよくわからないものの、最終的には綺麗にしているという一言で終わらせてしまっております。無粋な輩でございます。。。

 日常と違う日々を過ごして垣間見えたものは、もてなしの心と仕事にいそしむ心持。
萬国屋01萬国屋03萬国屋04
 失礼千万な言い方ですが、辺境の地にありながら観光を生業として営んでいる人々は、従業員だけでなく市井の民ですらゲストに優しいのでありました。それはこの町に住む皆々が、この仕事が町の基幹産業であることを熟知しているからなのです。
萬国屋09萬国屋10萬国屋11
 その労働は長時間にわたり、ともすれば毎日がランナーズハイの状態のように、曜日すら忘れてしまうように24時間が過ぎていきます。

 そんな人々の姿を見ることができたのは、中年クライシスを迎えつつあった自身にとって喝を入れる格好の材料となりました(礼)。
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 宿泊していた施設は萬国屋という老舗でした。
 創業三百余年とか…。歴史の重みがありますね。
 旧家といえば、いわゆるお宝も多なりでしょう。
 デザインとしても秀逸な数々の書がそこここに飾られています。
楽山楽水01
 旧庄内藩主酒井家十七代、酒井忠明氏の書になるもの。「子曰く、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。」という論語からの一節。
鹿鳴01瑞氣満堂01
 左はロビーにある「呦々鹿鳴」。「ユウユウと鹿は鳴いて友を呼び云々…」。上記同様酒井氏による一筆。右は「瑞氣満堂」。昭和16年書家の藤原仙渓氏の書。「喜ばしいこと(瑞氣)が、建物全体に満ちている(満堂)という意味とか。
書 灯01守拙01
 パッと見では何と書いてあるのか分かりませんが、ロビー階にある「灯(ともしび)」と、宴会場にある「守拙(せつをまもる)」。
 前者は女流書家による筆、後者は同地出身の方がしたためたもの。
萬国屋
 達筆な方を見るにつけ、字がうまくなりたいなぁと思うものの何の努力もしていません…。
 歳を経るにつれこうしたものを見いるようになってきました。表意文字である漢字は絵画のように趣きがあり、ハッとさせられます。いい仕事してますねぇ。。。

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 ここは同僚同業も見ているところなので、全てを開示するわけにはいきませんのでチョットだけ…。
真鯛かぶと揚げ
 魚大好き人として、これだけは外せませんでした。私どもは、お客様と同じ料理内容ではなく、半分程度に品目を減らした夕餉を頂戴したのですが、長らく滞在したおり一度だけゲストに供せられたものと同じ鯛の兜揚げがテーブルにあがったのです。
 もう両手でむしゃぶりついてバリバリ音を立てて供養しました。
真鯛かぶと揚げ02赤カブ
 歯などのごく硬いものを除き、人として余すところなくいただきました。あつみといえば赤カブです。これもじつに「んまいっ!」。

 さてその他。
 豚肉業界のメジャーブランド平牧三元豚です。
平牧三元豚平牧三元豚02
 しゃぶしてもみじおろしとポン酢でいただきました。私は平田牧場でなくても豚は好きなのです。
だす02
 山形といえば、「だす」ですな。一応「だし」なんですが、発音としては「だ」が正解なんじゃないでしょうか。これが「んまいっ」のですよ。本来夏場に持ってこいでしょうが、今の時期でもなんら問題ありませんよ。
庄内柿
 庄内柿。凍らせてありシャーベット状に食べられます。佐渡には「おけさ柿」などもありますが、山形も柿の産地。特に米沢から県都に向かう道を走ると、簾状の柿の姿をよく見たものです。

 実はあつみの街中にも、「これはっ!」と思う絶メシを危惧する地場の外食屋さんがあったのですが、今回は行くことができませんでした。いつの日か行っておかねば!

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 前日のログにならい、タイトルも平仮名の「あつみ」にしました(礼)。

 あつみ温泉は温海川に沿っている訳ですが、そもそもその温海なる名前は河底から自然湧出する熱泉があり、昔は水面上3mの高さに噴出する程で、温泉で温められた川水が海水まで温めたことから温海という名になったとありました。そんな自然の恵みには多くの動植物が集うものです。

 この時期の温海川は鮭が遡上してきます。
鮭02
 温泉街の葉月橋のところは人工的な瀬になっており、河口から川上を目指す鮭にとっては厳しいところ。傷ついた体に鞭打って子孫を来世に繋ぐべく営みが、そこここにみてとれます。
鮭01鮭03
 肉眼でもはっきりわかりますがカメラのズームを使うとその眼差しまではっきりわかります。
鮭04鮭05
 地元の方には毎年の風物詩としてなんら珍しいものでもないでしょうが、ほとんどの旅客は身を乗り出して鮭を見つめ、その姿を人生に重ねていたのでありました。
鴨鴨02
 鴨という鳥は警戒心が強いはずで、私なんか田んぼに行ったりするとかなり前から飛び立つものですが、ここにくる人間は安心だと分かっているのか、ごく近くから見ていても我関せずで悠々としておりました。
鳥
 急峻な山から流れる温海川は、小動物にとってもオアシスでありましょう。今の時期は鮭ですが風薫る時期の鮎なども風景にマッチした自然からの贈り物ですね。
霊長類
 この地に住まう霊長類も、培ったものを持っており、それは一朝一夕に真似のできるものではないのです。
 つまり、箱ものは札束を積めばどこでも同じものを作れても、人の所作や心の持ちようは、地層のように積み重ならないとものにできるものではないのです。

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 先週末からほぼ一週間、山形県の温海(あつみ)温泉に行っておりました。仕事でずっと滞在しておりましたのですが、デイリーの記録をまとめる時間がとれなかったため、やっと解放された今あらためてその見聞ログをアップできるのでありました。温海と漢字で書くと堅苦しいので、以下「あつみ」にて表記いたしまします。

 さて、あつみ温泉は新潟県の県境を過ぎ、山形県に入ってすぐの地にあります。大型宿泊施設が数件と小規模な旅籠も数件、公共浴場が3か所と足湯ができるところがいくつかあります。けっこう湯量豊富なのでしょう。温泉好きな私は、この機会に時間の合間を縫って公共浴場へと行ってきたのです。
正面湯01正面湯02
 まずはじめに「正面湯」に行きました。朝5時から24時まで開いていますが、一応ゲストは6時からとなっております。200円です。
 泉温は56度あまり。あつみの湯は無色透明無臭ですが、口に含むと苦みがあります。ナトリウム・カルシウム・塩化物・硫酸塩温泉という長いお題目がありましたが、基本は源泉掛け流し。
 つまり……劇熱ってことです。湯をもむように上から落としてさましているようですが、放っておくと凄まじい熱さになります。もちろん水でうすめることはできますが、地元人はそれをよしとしないとホテルのフロントの方から聞き及びました。もとより野沢や草津でも私は苦にならないので、ぢんぢんの熱さの湯に涼しい顔で入ってまいりました。
下の湯01下の湯02
 こちらは「下の湯」。こちらも「正面湯」同様です。正面湯は施設的に新しいのか、シャワーの施設もありましたが、こちらは昔からの風情が残っています。つまり湯船から桶で湯をすくい、ザバザバかけて洗ってつかります。
 マイケロリン桶に石鹸とシャンプーとタオルを持参しておりますので、パッと見ジモティーと同じです!
湯之里公衆浴場01湯之里公衆浴場02
 こちらは「湯之里公衆浴場」。お湯は前二つと同じ。とにかく熱い!!
 しかしこの熱さが私的によいのであります。
 これだけの掛け流しの湯が存在するのは湯量が豊富な証左でありましょう。
萬国屋露天風呂01
 滞在していた萬国屋の露天風呂。源泉掛け流しであります。
飲泉所足湯カフェ
 飲泉所もそこここに。足湯に浸りながらカフェを楽しめる「足湯カフェ Chitto  Motche(チット モッシェ)」という店もあります。Native な温海人に聞いたところ、思った通り「ちょっとおもしろい」からきているようですが、津軽弁がフランス語に発音が似ているとよく言われますけども、実は山形弁もといったところです。

 はてさて、生活するには県境という立地においては厳しいものが存在するであろうに、温泉という大地の恵みと海の幸山の幸川の幸という全てに恵まれた類まれな地は、人情にも恵まれた良い地でありました。

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